図書館情報学を学ぶ

はてなダイアリーで公開していたブログ「図書館情報学を学ぶ」のはてなブログ移行版です。

彼女は何故ブログに自ら犯した犯罪について書いたのか?

ところで、今日の新聞を読んでいて、以下のような事件が起こったことを知った。とある女子高校生が、自分の母親の食事に劇薬を混入し、意識不明の重体にさせた容疑で逮捕されたらしい。これだけで十分衝撃的な事件であるのだが、注目すべき点は、彼女がその劇薬を入手した過程や母親の体調が悪くなっていく過程を、彼女が開設したブログに逐一書き込んでいたという事実だ。
果たして、彼女はどのような心境でブログに記事を書いていたのだろう…。
インターネット上に無数に存在するブログは、時系列に記事を管理するというその性質から、日記的な内容のものが多い。実際、私のこのブログも日記的な内容である。ブログの書き手のほとんどは素人であるから、一体どの範囲まで私生活を書けばいいのか、どのような記述が誹謗中傷にあたるのか、把握できていない。教師の悪口を書いて退学処分された学生や、オタクに対する誹謗中傷を書いて職場をクビにされた者など、ブログによってトラブルが発生するということは今に始まったことではない。
しかし、それでも彼女の行為が、私には正直理解ができない。彼女は、自分が犯罪を犯そうとしていること、母親が苦しんでいることを文章にしているうちに、罪悪感は湧いてこなかったのだろうか、そして、自分の所業をインターネット上で報告することに、人に知られるということに恐怖感は無かったのだろうか。私は彼女を非難するつもりも無い、かといって擁護するつもりもない。ただ不可解なのである。少なくとも、彼女はインターネットに記事を投稿するということは、日本中の人々が自分の記事を読む可能性がある、ということを理解していなかったことは確かだと思う。彼女の中では、ブログと日記が完全にイコールになっていたのかもしれない。
ブログの開発によって、インターネットの書き手は増えた。しかし、その増加に対して、人々の意識に情報倫理はどれほど根付いているだろうか。私自身も含めて。
参考)http://www.asahi.com/national/update/1101/TKY200511010420.html