図書館情報学を学ぶ

はてなダイアリーで公開していたブログ「図書館情報学を学ぶ」のはてなブログ移行版です。

JSAI2010でShizuku2.0の研究発表

事後報告ですが、本日JSAI2010(人工知能学会が開催する研究大会)にて研究発表を行いました。

今回の研究発表は、私が所属している株式会社しずくラボがクローズドベータサービスで運営している「Shizuku2.0」について理論的に考察しようとしたものです。内容としては2008年に発表した「利用者のつながりを創り出すコミュニティ指向型図書館システム」の続きです。詳しくは上記の人工知能学会のページに掲載されている研究報告のPDFを閲覧していただければ幸いです。

発表したのは『知識の利用と共有「ナレッジマネジメント」』というセッションでした。普段の研究領域とは異なる研究領域での発表であったため、貴重なアドバイスを頂きました。質問して頂いた方やその後ナレッジマネジメントについての貴重なレクチャーを頂いた方々に感謝を申し上げたいと思います。

情報大航海プロジェクトに突きつけられた2つの質問

今週は情報処理学会研究大会が開催されているということで、東大に通い詰めています。
先日8日(月曜日)は情報大航海プロジェクトのシンポジウムに出席。全体のプログラムは改正著作権法の要点の講義や、欧州検索エンジンプロジェクト Quaero に関する招待講演、情報大航海プロジェクトの成果報告の総括などで、これだけでも充実した内容でした。しかし、これよりも私が注目したのはシンポジウムの最後になされた質疑応答でした。

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読書という言葉の解体

いろいろ本ブログに書くべきことが沢山あるような気がしますが、復活しやすさを優先して取り上げやすい話題から書いていこうと思います。
先日、知的コミュニティ基盤センター公開シンポジウム「現代出版研究の視座」に出かけました。当日にはTwitter上でid:min2-fly さんと私が実況していたのでそれを見ていた方もいらっしゃるかと思います。電子書籍について、雑誌業界や学術出版業界など様々な視点から論議する点で面白い催しだったと思います。質疑応答でも出ていましたが、多くの方はおそらく電子書籍の台頭によって出版業界の構造がどう変わるのかが気になったかと思います。
しかし、私が特に気にかかったのは登壇者の影浦峡先生による「そもそも読書とは何か」という問いのほうでした。多くの人は「読書」という体験についてあまり追究せず、電子書籍について論じているように思います。そもそも活字が氾濫している現代において、どこからどこまでが「読書」なのか。週刊雑誌を読むこと、漫画を読むこと、Wikipediaという百科事典を読むこと、サウンドノベルをプレイすること、Twitter上の小説を読むこと、これらのどれが読書であるのかないのか。人が「読書」をしたいと感じた時、それは具体的にはどんな体験を欲しているのでしょうか。
このような問いは紙媒体の書籍の存在によって、封じられていた問いだといえます。しかし、電子書籍端末によって本を読むことが一般化してくるようになれば、「読書」という言葉は見直される必要があると思います。もしかしたら、紙の本に対する「読書」と、電子書籍端末に対する「読書」には別の言葉が割り振られるかもしれません。そのような「読書」の解体が起こったとき、それぞれの「読書」はどの業界が担うようになるのでしょうか。
「読書という言葉の解体」は、すなわち消費者の真のニーズを見極めることに繋がるのだと思います。ケータイ小説の流行やサウンドノベル、またはペンギン社が打ち出した電子書籍アプリなどは、既に読書という言葉にとらわれず消費者のニーズを見極めたサービスを提供しています。今後は、そういった既存の「読書」のイメージから外れたサービスの中にこそ、出版業界が取り組むべきものがあるのかもしれませんね。

ガバメント2.0と日本の政府ウェブサービスの現状

ティム・オライリー氏がウェブ2.0に続く概念として「ガバメント2.0」を提唱しており、そのアプローチとして「プラットフォームとしての政府」の実現を主張されているようです。リンク先ではアメリカでの具体例が提示されています。特にData.govは政府が公開している生データを統合検索できるなど、実際にプラットフォームとしての活用に期待が持てそうです。イギリス政府がTwitterに関心を抱いているところを見れば、ガバメント2.0は決して夢物語とは言えないと思います。さて、それでは「プラットフォームとしての政府」を体現してくれそうな例が、日本には存在するのでしょうか。

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U40プレミアセッション問題、自分なりの意見

実は前回の記事を書いていたときに既に申し込んでいたのですが、全国図書館大会U40プレミアセッションに私も参加することとしました。
参加者へのメッセージには、自分なりに語りたい図書館のテーマについて書いてみました。簡単に言えば、図書館の根本的な目的であった「情報の共有」と「学習環境の互助」を今の図書館制度をすべて脇において考えると、どんな実現方法があるのか、ということを図書館関係者と語りたいと考えています。
先週末に、プレミアムセッションの参加制限について議論がおこりました。それぞれの議題は私も非常に重要な問題意識と感じましたが、議論を追った後の率直な感情としては「やってみないとわからないのではないか」ということでした。

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要点:全国図書館大会U40プレミアセッション問題( at Twitter)

最近Twitterに絶賛引きこもり中の私です、お久しぶりです。
今年10月29日に全国図書館大会にて「U40プレミアムセッション」という年齢制限つきの企画が立ち上がっているようです。

具体的には、その制限とは以下のようなもののようです(参照:http://futurelibrarian.g.hatena.ne.jp/)

  • 40歳以上の図書館関係者は発言を控えてオブザーバーとして参加する
  • 委託・指定管理など、いまの図書館の目の前の話は禁止

ところが、その制限に問題があると、 id:min2-fly さんを中心としてTwitterにて議論が巻き起こっていたようです。

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