『毎日かあさん』2巻を読んだ。
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2005/03/31
- メディア: 単行本
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西原を知らない人は、表紙を見て、(失礼だが)何故この画で二つも賞をものしてしまったのだろうかと疑問に思う人がいるかもしれない。たしかに西原の画は素朴で、いわゆる「画力」が高いとはいえない。しかし、この画こそ、西原マンガのおもしろさを端的に表現していることは、西原ファンの誰もが認めることだろうと思う。
西原理恵子のエッセイマンガシリーズである『鳥頭紀行』『できるかな』(ともに全3巻)を読むと、西原理恵子の活動歴が分かる。『鳥頭紀行』では、アマゾンの奥地へ巨大魚を釣りに行ったり、暴動真っ最中の国へインタビューに行ったり、ミャンマーへ行って僧侶になってみたりと、とにかく世界中を飛び回って破天荒な活動を行っている。しかも、アマゾンでは酒が飲めなくなるためにマラリアの予防接種を拒否、というアナーキーぶりである。『できるかな』では、手作りのガイガーカウンターで原発事故のあったもんじゅの放射能を測定してみたり、ロボコンに出場してみたり、自分の脱税経験を暴露したり、キャバクラ嬢になって客接待をしてみたりと、その破天荒さには唖然である。西原マンガのおもしろさの一つは、その内容のトンでもなさであり、またブラックジョーク・毒舌の嵐にある。
また、西原理恵子のもう一つの面であるストーリーマンガシリーズでは『ぼくんち』『晴れた日には学校をやすんで』『ゆんぼくん』などがある。これらでは、エッセイマンガでの破天荒さは脇に置かれ、叙情的で詩才あふれるストーリーと語りが中心となっている。『ぼくんち』では特に、最後まで読むと、本当に泣きそうになってくる。凄惨な日常に生きる主人公の兄弟の前向きに生きようとする姿が健気で、自分もとにかく生きようと決心してしまうほどである。西原マンガのもう一つのおもしろさは、その叙情的な語りにある。
破天荒な活動、言動と、とりおり挟まれる叙情的な語りの融合、それが西原マンガの特徴であるといえる。それは画風にも現れていて、線や彩色、手書きの文章は明らかに手抜きで汚いのだが、それでいて水墨画のような印象も与えてしまう。西原の画は通常のマンガで言われる「技巧的な上手さ」ではなく別の意味での「上手さ」を持ち得ているのである。
まだまだ西原について語っていきたいが、時間切れなので、続きは明日あたりに(とかいって守ったことないなー)。