図書館情報学を学ぶ

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大成功!寄贈本で図書館新設を試みる矢祭町

以前に話題となった福島・矢祭町の、寄贈本で図書館を新設しようという試みの続報が毎日新聞にて報じられています。

福島・矢祭町:新設図書館の本、寄贈呼び掛け
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060718k0000m040128000c.html
矢祭町:図書館新設に、全国から寄贈本3万5000冊 1日10件問い合わせ /福島
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/fukushima/news/20060729ddlk07010367000c.html
矢祭町:寄贈本、5万冊突破 図書館来年開館目指し、きょうから本格整理作業 /福島
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/fukushima/news/20060804ddlk07010276000c.html

(via 愚智提衡而立治之至也
報道によると、寄贈の呼びかけから10日にして、全国から約3万冊の書籍が集まり、8月3日までで約5万冊が集まったそうです。現在は県立図書館の司書の指導のもと、ボランティアによる分類作業が行われているそうです。
福島民報によれば、当初矢祭町の公共施設に所蔵されていた書籍は約9000冊。この状態から図書館を新設するには10億円以上の予算が必要でした。今回の寄贈呼びかけの成功が無ければ、矢祭町の図書館新設計画は頓挫していたことでしょう。

「本当の成功」にはまだ問題は山積み

書籍が確保できたから、即成功というわけにもいきません。図書館司書であるG.C.Wさんはブログ「愚智提衡而立治之至也」にて、以下のように述べています。


正直なところ,矢祭町が打ち出した方針の当否は5年くらい我慢して様子を見ないとわからない,というのが僕の本音です.大都会ならまだしも,この方法が矢祭町のような過疎の町で成功するかどうか,と問われれば,「公共図書館」に対するグラウンドデザインを描ける人材が矢祭町にいれば上手くいくかもしれませんよ,答えましょうか(^^;).
リンク元http://jurosodoh.cocolog-nifty.com/memorandum/2006/07/post_ebe6.html
所蔵する書籍を確保したとしても、その後のスタッフ配置やサービスの内容など、図書館運営の問題が数多く残されています。実際、矢祭町には図書館司書はおらず、専門家を集めるだけの予算は中々つかないようです。案としては住民のボランティアで最初は運営するということで話が進んでいるようです。これからいかに公共図書館の運営機構を確立していくかが、矢祭町の図書館新設計画の「本当の成功」の鍵でしょうね。