図書館情報学を学ぶ

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カンバセイション・ピースが面白すぎる

だいたい四分の一ぐらいまで読んだ。野球の観戦のシーンを過ぎたあたり。あまりにも面白すぎて、尊敬する人物の脳内リストに保坂和志を追加してしまった。はじめのあたりに、主人公が子供の頃、現在住んでいる家の居間でもう亡くなっている叔父と叔母がくつろいでいる光景が回想(とみていいのか?)として描写されているところがあるのだけれど、現実の描写から入っていく様子がものすごく滑らかで、保坂和志の文章力に感服した。よく映画で現実の風景に同じ位置の過去の風景が被さるような演出があるけど、そういうような描写が小説でもできるんだということにも驚きを感じた。と同時に、そういう描写のできない自分のさっきまでの小説のイメージがあまりに不自由であることに気づいた。自分は本質的な「小説の自由」をまだ思い描けないんだなあ、と考えさせられた。まあともかく、カンバセイション・ピースは面白い。

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

カンバセイション・ピース (新潮文庫)