図書館情報学を学ぶ

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ダロウェイ夫人

ダロウェイ夫人 (ヴァージニア・ウルフ・コレクション)

ダロウェイ夫人 (ヴァージニア・ウルフ・コレクション)

先月から少しずつヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』を読んでいた。未だ半分も読めてはいないのだが、その独特の作風には驚かされる。
『ダロウェイ夫人』では、主な舞台となるのは、それぞれの主要登場人物の精神世界であり、現実世界はただの背景でしか無い(と思われる)。具体的には、内容のほとんどを占めるのは、登場人物の過去の思い出か自身の精神状態を独特の比喩でもって表現している。
レオン・サーメリアン『小説の技法』によれば、『ダロウェイ夫人』には「内的独白」という技法が用いられているという。内的独白とは、読者やその他第三者人物を対象としたものではない、心中での独り言という形式の表現法である。内的独白はジョイスなどが用いているが、ウルフはこの内的独白を用いて女性独特の感性の言語化に成功しているという点でレオン・サーメリアンは評価している。
『小説の技法』から先に読み始めていたために、この小説の表現形式についてはある程度知っていたが、実際に読んでみると、迫力が違う。そして、まさに自分の精神状態をなぞらったかのような文章に出くわすことがあり、非常に関心が湧く。
ダロウェイ夫人については、後きっちりと引用してその独特な表現を紹介したいと思っている。
小説の技法―視点・物語・文体

小説の技法―視点・物語・文体