図書館情報学を学ぶ

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情報科学は主観評価の積み重ね

先日、「情報推薦アルゴリズムの効果をどう評価するのか」という記事を書きましたが、各所から様々なフィードバックを頂きました。私の理解力が不十分なため、指摘を完全にまとめることはできないのですが、強く印象に残ったことについて書いてみようかと思います。

工学的立場からの研究にはよく見られるのですが、個人的には、そもそも情報科学の世界において、なんらかの「正解」や「客観評価」が存在するかのような前提を置くというのは、ありがちな誤解だと思っています。

情報科学における評価はヒトによる主観性評価しかありえず、そのように評価が行われてきたと認識しています。

(参照:http://d.hatena.ne.jp/kunimiya/20081223/p1#c1230090389)
id:tmasao さんから頂いたご指摘です。
言われてみれば、その通りかもしれません。そもそも情報の価値というものが受け取る人によって異なる以上、そこに客観性を求めるのは無理がある、といえるのかもしれません。
この指摘で気づいたのは、私は研究の厳密性を求めるあまり、主観を無価値だと断定してしまっていたということです。他の方からも「あなたは自然科学と工学を混同している。すべてが自然科学のようなルールで研究がなされているわけではない」というような指摘を頂いていました。自然科学に憧れを抱きすぎていた、ということなのでしょう。
情報科学が対象とする現象は、情報を価値づける人の主観の中にあり、だとすれば情報推薦を主観的に評価するということは、それ自体が一種のサンプルである。それを積み重ねることで、科学的成果が生まれる。私は上記のコメントをこのように理解しました。

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以下、先人による書評