図書館情報学を学ぶ

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「BLAME! 1巻」

BLAME!(1) (アフタヌーンKC)

BLAME!(1) (アフタヌーンKC)

2日の遅れがでているということで、その場しのぎにマンガを1冊。
BLAME!」は私の愛読しているSFマンガなのだが、色々な点で特異な作品。まず舞台は太陽系をも飲み込んだ巨大な塔で、そこには塔を建設する機械や珪素でできた人型の生物「珪素生物」などがいて、彼らに脅かされながら細々と人類が生きている。そんな世界を、主人公のキリイは「ネット端末遺伝子」という遺伝子情報を手に入れるためにひたすら塔を登っていく。
まあこういうハードコアな世界観なわけなのですが、さらにこの作品の特異な点は、こういった設定の解説が一切出てこないことです。マンガで主人公がよく口にする「説明口調な独り言」も一切無い。下手をすると1話中一つの台詞も無い場合もある。だから物語の設定や背景なども4巻ぐらいになってようやくわかってくる。
私がこのマンガを好む理由は、まさにこの「解説が無い」ということだ。まあ読者によっては嫌う理由にもなりうるのだけれど、作者は冒険のリアリズムを追求するためにあえてやっている、つまり作者の怠慢ではなく一種のモチーフなんじゃないかと私は思う。現実に人が冒険といえるような体験をするとすると、まずドラクエみたいなイベントや世界観の解説なんてのは、当時者にはほとんど提示されないだろう。何もわからないまま行くのが冒険なのである。BLAME!は、本当の意味での冒険マンガであると解している。この徹底度に、私は惚れているのだ。
ついでに言うと、タイトルは「ブラム!」と発音する。普通は「ブレイム」だと思うのだが、おそらくフランス語の発音なのだろう。(フランス語は単語の末尾を、それ単体では基本的に発音しない)