図書館情報学を学ぶ

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OpenAccessとP2Pネットワーク

先週10月23日に坂東さんからお誘いをいただき、Open Access Week2009セミナーに参加して来ました。

すでにid:min2-fly さんがログを公開しているので、詳細を知りたいかたはそちらをご覧ください。
さて、今回のセミナーではOA、Open Cource Ware、Creative Commonsと、学術資料の公開に関する様々な話題が扱われていましたが、私は特にOCWが抱える課題について関心を持ちました。
OCWの課題の1つとして、「持続可能性」があります。OCWには講義を撮影した動画データも含まれるため、配信にかなりのコストがかかる可能性があります。そのため、最近の不況の煽りを受けて運用が困難になってしまうケースがあるそうです。実際に、ユタ州立大学は不況の煽りを受けてOCWから撤退してしまったそうです。
今後、OCWが活発に利用されるようになるためには、コストを削減しつつ安定した運用を続ける方法を生み出さなければなりません。
この話を聞いてふと思ったのは、OCWコンテンツをP2Pで配信してしまえばコストを大幅に削減できるのではないか、ということです。例えば、大学側はオリジナルのデータとファイル取得のためのリスト(トレントファイルのようなもの)を保持しておいて、実際の講義資料データはP2Pネットワークの他のコンピュータからダウンロードする。こうすれば、基本的に大学が負担するコストは配信リストの分で済みます。
P2Pネットワークの活用には、常に著作権コントロールの問題が生じますが、もし今後Creative Commonsの適用が進めばあまり問題にはならなくなります。
もしすべての大学のOpenCourceWareがP2P化すれば、各大学の配信サーバーがお互いのデータ配信を支援するようになり、ユタ州立大学のような例が起こったとしてもしばらくは配信が持続できるようになるでしょう。
持続可能性の問題はOCWに関わらず、Open Accessやデータサイエンスにも適用できるでしょう。P2Pの導入というと抵抗感を持つ方がおられるかもしれませんが、このような技術の導入も難なく行えてこそ真のOAといえるのではないでしょうか。
みなさんはどう思いますか?