図書館情報学を学ぶ

はてなダイアリーで公開していたブログ「図書館情報学を学ぶ」のはてなブログ移行版です。

科学の規範には2つの次元がある?

情報推薦および情報科学の評価のあり方について様々なご意見を頂きましたが、どうも自分の疑問が曖昧であったためか、話題の次元が食い違いが起こっているのではないかと思いました。なので、少し自分の疑問を整理したいと思います。
今になってみると、私が感じていた情報推薦への疑問は、以下の2つの次元が混在しています。

  • 学術コミュニティの次元:情報推薦に関する研究者間で、どのような評価観が共有されているか
  • 科学哲学の次元:そもそも情報推薦は科学たりえるのか、情報科学の客観性とは?

科学がどうあるべきかという問題は科学哲学という分野で気の遠くなるような議論がありますし、どのような科学分野においても常に議論し続けられている話題であると思います。
ただ、そのような議論とは別に、それぞれの科学分野には当面の研究の方向性を定めるための暫定的な科学の手法や評価の考え方が、研究者間でコンセンサスとして存在しているのではないでしょうか。そうでなければ、研究の評価を行うことができなくなるからです。
私がそもそも情報推薦の評価方法に疑問を感じたのは、研究者が評価方法に関してどのようなコンセンサスを得ているのか?ということでした。少し卑しい言い方をすれば、「研究で何を重視すれば評価してもらえるのか」ということが知りたかったのです。*1
しかし、先の情報推薦の記事の後半は、まるで自分の疑問が情報科学全般の規範に関わるものだとでも言いたいかのような論調になっています。これは明らかに誤解を招く表現で、読んでいただいた方には大変申し訳なかったと思います。
ただ、科学哲学の次元でのご指摘も私としては非常に興味深く、自分の研究を考える上でも参考になりました。いずれ科学哲学について学んだ上で自分なりの情報科学の科学観についてまとめてみたいと思います。

*1:よくよく考えてみれば、このような疑問はブログ上ではなく、研究会などで発する方が正しかったのかもしれませんね