図書館情報学を学ぶ

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Shizukuの今後を考察する(1):コミュニティの「囲い」にあたる機能

先日、図書館情報システム「Shizuku」に関する論文を公開しましたが、早速id:katz3さんから感想を頂きました。

id:katz3さんありがとうございますm(_ _)m 様々な観点から論じて頂きました。せっかくなので、頂いたご意見を材料に、私なりのShizuku開発の今後について考察記事を書いていきたいと思います。

mixiでいうコミュニティみたいに、コミュニティというからには何かの「囲い」があるはず。ごく緩やかな、暗黙的無意識的コミュニティを指向しているわけでもあるまいから。その「囲い」に当たる機能としては、文中のものだけでは説得力に欠ける。

この点についてはProject Shizuku内でも問題視されており、現状の機能だけではコミュニティ形成のためには不十分であるという認識を持っています。ただし、mixiなどの例をそのまま模倣しただけでは自分たちの考えるコミュニティの形成には至らないだろうとも考えています。
論文にもあるとおり、Shizukuでは貸出履歴によってユーザー間のつながりを創り出すことでコミュニティ形成を目指しています。これは、コミュニティの形成が参加者によるボトムアップな働きによるものだという考え方が(少なくとも私には)あるからです。しかし、mixiのコミュニティ機能はユーザー間のコミュニケーションが行われる前に管理者によって枠が作られるという、トップダウンな構造になっています。これは短期的な情報交換には適していると考えられますが、学び合いや集団による知識創出を目的とする場合には不適切です。
id:katz3さんの言葉で言えば「暗黙的無意識的コミュニティをもとに明示的なコミュニティの囲いを形成する」ことがShizukuの方向性であるといえます。
ただし、現時点でそのような明示化の機能はまだ具体化されておらず、これは今後の中心的課題と考えています。今のところは、仮想本棚 → 仮想図書カード → 本棚コメントというユーザー行動の先に「コミュニティ明示化機能」が結びつくようにしたいと考えています。