図書館情報学を学ぶ

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新米図書館員さんの成長ものがたり - 『図書館が教えてくれた発想法』

図書館が教えてくれた発想法

図書館が教えてくれた発想法

同じ大学の司書課程で学んだ三人の女性。ひとりは小学校の学校司書、ひとりは大学の図書館司書、もうひとりは公共図書館の司書。仕事に恋に生き方に、夢と希望と不安と期待を抱きながら、毎日「本」と暮らしてしている彼女たちの等身大の日常のドラマ....なんて感じ。物語のいたるところで図書館の舞台裏が分かるような感じ。

図書館を広報するためにドラマや映画を製作してはどうか、という話。丸山さんほどドラマティックではありませんが、先日そのアイデアに近い本を発見しました。それが、上記の『図書館が教えてくれた発想法』です。

新米図書館員さんの成長ものがたり

本書は、図書館を活用した「調査の流れと組み立て方」を順序立てて解説した書籍です。この書籍が面白いのは、その過程が1つの物語になっている点です。
物語の舞台は架空の町"あかね市"。そこに「とある目的」で引っ越してきた若者、上田彩乃は、ひょんなことから"あかね市立図書館"でアルバイトをすることになります。右も左も分からない彩乃は、先輩図書館員の伊予高史から優しく丁寧に図書館の活用法を教わっていくうちに、図書課員として、人として成長していくようになる。やがて「あるハプニング」により図書館のシステムが危機に陥るなか、駆け込んできた利用者のレファレンスを臨時に担当することに……はたして彩乃は利用者を救うことができるのか!?
と、 米国のドラマ「ER救急救命室」の図書館版みたいなもの風にストーリーを紹介しましたが、全体的にはほんわかと和やかな雰囲気の物語なのでご安心を^^);

調査のチュートリアルとしての本書

物語として面白いだけでなく、本書は調べ物をしていくためのチュートリアルとしても非常に使えます。
特徴的なのは、図書館をフルに活用している点。たとえば、図書館の本棚が左から右に、だんだん分類が細かくなっていくように蔵書を並べている点を利用して、「発想を絞るには左から右、発想を広げるには右から左に本棚を見ていく」という本の探し方を提案しています。
自分が抱える疑問や問題があいまいなときや、どこに解決方法が載っているのか分からないときには非常に有効な方法といえるでしょう。これも、分類法がしっかり定まっている図書館ならではの手法です。
この他にも、図書館を活用した様々な調査手法が紹介されています。地元の図書館を味方につけて調査のプロフェッショナルになりたい方は、『図書館のプロが教える“調べるコツ”―誰でも使えるレファレンス・サービス事例集』と併せておすすめの書籍です。

関連書籍

図書館のプロが教える“調べるコツ”―誰でも使えるレファレンス・サービス事例集

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架空の市立図書館「あかね市立図書館」を舞台とした様々なレファレンス事例を載せた「楽しく読める実践事例集」。各事例の後ろに調査のパスが図示されているのがポイントです。巻末の参考文献も非常に有用です。
以下事例が載っている本。