図書館情報学を学ぶ

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『フューチャリスト宣言』で図書館情報学が言及されている

フューチャリスト宣言 (ちくま新書)

フューチャリスト宣言 (ちくま新書)

といっても1フレーズだけですけど。

茂木 将来の課題としては、動画にどんなタグをつけるかが、非常に深刻でもあり、おもしろい問題でもあります。いまはユーザーが勝手にタグをつけているんですよね。

梅田 そこがウェブ2.0。あれはある種の発明で、要するに不特定多数の人たちが勝手にタグをつけることができるという仕組みは、短いプログラムで書けるわけですが、それを作った瞬間にワーッとタグがついた。タグは分類学図書館情報学に沿ってつけなければならないという常識をひっくり返した。タグなんていうものは専門家しかつけられないと思うんじゃなくて、誰でもいいから思いついたタグをつけてくれと言うと、いろいろなタグが、それらしいタグを中心に分布する。その全体でなんとなく正しいタグがついたと考えよう、ほとんどコストをかけずにねと。この考え方がウェブ2.0を象徴しています。

(『フューチャリスト宣言』p69-p70より)
図書館情報学に沿ったタグ付け」というと件名のことになるかと思います。やはり、ウェブ2.0をメインに置く議論では図書館情報学は古い考え方という風に捉えられてしまうのでしょうか。
個人的に気になるのは、図書館情報学ソーシャルメディアをどう飲み込んでいくかということ。私的な定義では図書館情報学とは、膨大なコンテンツの集積を有効に活用するために計算機工学・社会科学・人文科学などを援用する学際的な学問で、必ずしも図書館情報学が非ソーシャルなパラダイムの上に立つ学問であるとは限らないと思っています。実際、図書館情報学の伝統的な実践の場である図書館でも、アナーバー図書館のようにソーシャル機能を取り入れた図書館システムが導入されている例もあります。
現在のタグ付け機能は非常に注目されていますが、まだタグ付け目的の混在や同義タグの乱立など多くの問題を抱えています。これまで図書館情報学が研究してきた伝統的な分類論もまだまだ十分参考になるように思えるのです。図書館情報学ウェブ2.0が協調していく時代が来て欲しいなあと願っています。