図書館情報学を学ぶ

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id:myrmecoleon さんの「貸し本棚」構想

id:myrmecoleon さんの書いた「貸本棚」がいつの間にかにブクマされています。民営化の議論からしばらく経ちましたが、はてブの図書館タグはまだまだ賑やかですね。
貸し本棚ですが、これは中々素晴らしいアイデア。実際に倉庫レンタルのサービスなんてのがありますから、案外実行に移せそうな気がします。私の身の回りでも(人力ですが)これに近いことを友人間でやっていますしw

本の運命 (文春文庫)

本の運命 (文春文庫)

貸し本棚構想が出てくるぐらい、読書家は本の置き場所に困るようですが、では著名な読書家はそれをどう対処していたか。小説家の井上ひさし氏は、何と自分の蔵書を寄贈して図書館を建ててしまったのだそうです。詳しくは『本の運命』(asin:4167111209)にて本人が経緯を語っていますのでそちらを読んでいただきたいのですが、なんでも農場センターの一角を提供してもらって作ったそうです。その蔵書量は13万冊、開館時間も(うろおぼえですが)夜9時ぐらいまでであったはず。個人の蔵書でこのような図書館を作ってしまうというのは他に例が無いでしょう。

大成功!寄贈本で図書館新設を試みる矢祭町
http://d.hatena.ne.jp/kunimiya/20060806/p1

ここで思い出すのは、前から話題になっていた「矢祭もったいない図書館」。所蔵の書籍がすべて寄贈によって成り立っているという最近設立した図書館ですね。これは全国から募集をかけた訳ですが、寄贈した人々は単にボランティア精神のみで行動したわけでは無いと思うのです。自分の書籍を保管してくれる場所としても見ていた人は(特に地元の人々)一定数いたのではないでしょうか。
あくまで私見ですが、このような個人の持つコンテンツを共有する仕組みこそが本来の図書館の姿なのではないかなあと思います。正確には文庫活動と言うべきなのかも知れませんが。WEB2.0の主要な要素としてCGMがここ数年騒がれていますが、そのようなボトムアップ方式でコンテンツを増やしていく仕組みは実は昔からあったのではないか?と最近は考えています。
貸し本棚構想の話から随分話がずれました。いずれにしろ、誰かこれを是非実現化してもらって、読書家の本棚を閲覧してみたいものです。

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遅筆堂文庫
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