「標識」が人々の生活を支えている。
昨日から地元で、郵便局での配達のアルバイトをしています。郵便局のアルバイトは去年も経験しているのですが、担当する地区が違うと町並みの特徴も異なるため、なかなか手こずっています。今日も制限時間ぎりぎりまで赤自転車で走り回って配達していました。もう大学2年生なのに郵便の配達に手こずってしまうなんて、いけませんね^^);;;
しかし、郵便の配達をしていると、見慣れた町並みの中にいかに多くの標識や標示があるのかがわかります。番地は電柱や建物に必ず記されていますし、商店や公共施設が自分をアピールするために内装を凝らしており、近くには看板を貼っている。当たり前のことばかりですが、普段はあまり注目していなかったものものが重要な標識であったのだと再確認しました。私は方向音痴であるので、配達のルートからずれないように目印になる建物や店の名前をできるだけ覚えるようにしています。番地表示や表札が全くなく、すべての建物がのっぺりしていたら、私どころかどんな優秀な配達員も郵便物を届けられないでしょうね。
アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
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ArthurとPassiniは、貧弱な経路探索デザインが、苛立ちや時間の浪費や空港、駅での乗り継ぎミスにつながるだけでは済まないことに気づかせてくれる。もし救急車のドライバーが目的の住所に到着するルートを時間内に見つけられなければ、患者が死ぬことになる。火災用の避難出口が不適切な位置にあったり、分かりやすく表示されていなければ、逃げ遅れて死んでしまう。道路を見ずに地図を見ていたばかりに、事故で死ぬこともあるかもしれない。貧弱な道路探索デザインのせいで、死者が出ることになる。そして目が不自由な人々からアルツハイマー病の患者にいたるまで、相当な(かつ増大しつつある)数の身体的障害を抱える人々は、大部分の人よりも深刻な経路探索上の課題とリスクに直面している。
現実のあらゆる場所に、あらゆるシステムに「標識」があります。標識は、それ単体では取るに足らないものに見えるかもしれませんが、その場のシステムを支えるのに欠かせない重要な要素です。その場にいる人々は、標識を手がかりとして行動します。標識が無くなれば、人々の行動は混乱状態となってしまうでしょう。
ここでそのシステムを管理する人が考えるべきなのは、どのような標識が人々の目を引き付け、一瞬のうちに意味を理解させるのか、その方法論です。都会の道路上は色とりどりの広告や店のデザインであふれています。その中では、どこでも見かける点字ブロックや交通標示は埋もれてしまい、誰にも気づかれなくなってしまう。今、人々の生活空間には視覚的な情報が満ちあふれています。しかしそのほとんどは、人々には必要の無いものです。
有用な情報を、いかに印象的に、即座に伝えるか、これはすべての人々が抱える普遍的な問題といえましょう。
図書館情報学は、この問題を中心的に扱った学問といえます。図書館が中心的な知の集積・提供機関であった時代では、本の分類法は人々の知的生活を支える重要な標識でした。本の分類法はもちろん今でも重要ですが、ラジオ・テレビ・WEBと、書籍以外の情報媒体が重視されているのが現代社会です。あらゆる情報を分類し、人々に分かり易く理解させる画期的な「標識」が現在、必要となっていると私は思います。図書館情報学を専攻する人々は図書館行政・教育・プログラミングなど、様々なアプローチを行っていますが共通するのはあらゆる人々が簡単に情報を得るためのシステムを追究しているという点です。その際に、この「標識」という概念はどのアプローチからも重要な鍵となるに違いありません。
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