図書館情報学を学ぶ

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世界で一番辞書を使いこなす小学1年生たち。

7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる

7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる

ふと本屋で見かけて買った『7歳から「辞書」を引いて頭をきたえる』が予想外に面白いです。
本書は、小学校1年生から辞書を日常的に使わせるという教育手法を、著者が担任として受け持った刈谷市立亀城小学校のあるクラスを事例として紹介した書籍です。
本を開くと、まず目に入ってくるのは小学生を写した写真でした。一見どこにでもいる無邪気な子どもなのですが、彼が手に持っているのはボロボロになった大判の本。それには無数の付箋が挟み込まれていて、通常の2倍のボリュームまでふくらんでいました。実は、この大判の本は辞書だそうです。
著者である深谷圭介氏が着任したクラスでは、とにかく児童に日常的に辞書を使わせる癖を付けるように指導していたのです。普通は小学1年生では辞書を読むのは無理だと思うのですが、著者によると、身の回りで覚えている漢字(例えば自分の名前とか)を引いていくうちに、勝手に漢字を習得し、辞書が読めるようになってしまうのだそうです。
本書を読み進めていくと、子どもたちが楽しそうに辞書を引いている姿を写した写真が随所に掲載されていました。授業中・休み時間中はおろか給食中もボロボロになった辞書を引いているのです。あまりにもギャップのある光景だったので一瞬引いてしまいましたが、このように幼い頃から自発的に言葉を学ぶスタイルが身についているのは素晴らしいことだと思います。(給食中に調べることの是非はおいておいて)
自分の幼い頃を思い返してみると、小学生が辞書を愛用するというのは、そこまで無理のある習慣では無いのかも知れません。私も小学生の頃に両親にせがんで『日本語大辞典』(ISBN:4061250027)を買ってもらったことがあります。日本語大辞典は図や写真がオールカラーで掲載されていて、非常に細かい事柄が解説されていた。当時の私は目的もなく夢中でその辞典を読んでいました。また、私の友人にも高校生の頃に広辞苑を読破した者がいます。まあこんな極端な人はあまりいないと思いますが、結構辞書は日常的に読んでみると楽しいものなのかもしれません。
図書館では、辞書のような調べ物に使用する書籍などのことをレファレンス・ツールと呼びます。基本的に、図書館ではこのレファレンス・ツールを活用して文献を探すことが奨励されています。情報化社会と呼ばれつつも情報を探す教育が置いてけぼりにされている現在、本書で述べられているような試みは非常に重要なことだと思います。ここまで極端で無くとも、幼い頃からちょっと背伸びをさせて辞書を与えるということは他の学校でも是非行ってみて欲しいと私は思いますね。

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