図書館情報学を学ぶ

はてなダイアリーで公開していたブログ「図書館情報学を学ぶ」のはてなブログ移行版です。

西垣通『こころの情報学』

こころの情報学 (ちくま新書)

こころの情報学 (ちくま新書)

7月28日付の朝日新聞に掲載されていた、西垣通氏と梅田望夫氏の対論を読んで、西垣氏に興味が湧いたので読んでみました。西垣通氏は、東京大学大学院情報学環の教授であり、情報学の第一人者であるそうです。図書館情報学は図書館学と情報学が融合した分野であるので、情報学についても勉強しなくては、と常日頃から思っていたので良い機会となりました。
内容は、「情報とは何か?」という問いを、ヒトの心と情報の結びつきという観点から探求していくもので、人工知能論・認知心理学言語学・動物行動学・社会学等々、様々な学問分野での<ヒトの心>に対する解釈を紹介しています。
構成は、第1章「情報から心をみる」で情報の定義を行い、第2章「機械の心」で人工知能、第3章「動物の心」でヒトの心と動物の心の比較、第4章「ヒトの心」で人類の言語活動、第5章でインターネットなどのメディアがヒトに与える影響について解説する、という具合です。第1章から第3章まではかなり客観的に書かれており、情報学の入門書として非常に良い内容となっています。第4章はこれからの情報化社会について述べているので、少し著者の意見が加わって偏りができているように思いますが、それでも非常にためになります。
私としては、オートポイエーシスシステムの理論を用いたヒトの心のメカニズムの説明と、言語が何故生まれたのかを言語学社会学から解説していく部分が非常に興味深かったです。あとでぽつぽつと内容の詳細な紹介をしていきたいですね。