図書館情報学を学ぶ

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『小説の自由』について

 今、小説家・保坂和志の『小説の自由』を読んでいる。一応形式的には、文学評論となっているのだが、これを小説ということもできるだろう。というのも、保坂和志は「小説について考えること」が小説を書くことであり、決して虚構を書くことではないと主張しているからである。実際、彼の著書に『<私>という演算』という、一見エッセイ集であるかのような書籍があるのだが、彼自身はこれを「小説だとわかりにくい小説」と呼んでいる。また、第六章となるはずのところにいきなり彼の新作短編小説が挿入されていたり、文章の途中でいきなり会話文になったりするので、これが(彼の言う)小説であっても全く不思議ではない。
 感想はというと、非常に面白い。正直を言えば、自分の文学観がすっかり変わってしまった。前々から『書きあぐねている人のための小説入門』等で保坂和志の文学観に触れていたが、『小説の自由』で彼の文章にどっぷり浸かっているうちにすっかり影響されてしまったらしい。書店でこの書籍を見つけるなり衝動買いしてしまったのであるが、大正解だ。
小説の自由