図書館情報学を学ぶ

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幼年時代 Ⅰ

本の話ばかりしているのも飽きられるだろうから、自分語りでもしてみようと思う。友人達は最近の私の恋愛事情について語れとしきりに言ってくるのだが、さすがにそれは気恥ずかしいので、まずは子供の頃の話を書いてみる。

小学校に入学する以前、私と家族は東京の杉並区に住んでいた。家は他人の一軒家の二階を借りていて、私と弟が部屋を駆け回っていたりすると、大家さんが怒りに上がってきたものだった。家の周辺の道は坂が多く、私の幼稚園の頃の思い出も、坂を上り下りして幼稚園へ通ったり、合気道の道場へ通ったりしているときのものが多い。

私は仏教系の幼稚園に通っていた。ぶっちゃけると杉並区西方寺の松苔幼稚園の事である。当時この幼稚園では、毎朝最初に保育士が幼稚園児を連れてお墓巡りをするのが慣例だった。当然幼稚園児はおびえて、毎回必ず泣き出す子がいたものだが、その度保育士は「泣くと幽霊が驚いて逃げ出すから、どんどん泣いて良いよー」と笑顔で言うのである。今思い返してみるとちょっとひどい…と思うが、このおかげで何となく墓場や幽霊に対して耐性が出来たので、まあ御利益はあったということか。

お墓巡りが終わると、今度は園長による仏教説話が始まる。説話といっても幼稚園児に聞かせるものであるから、ごく簡単なものだった。今でも記憶に残っているのは、座禅をしているブッダに悪魔が誘惑をしかけてくる話と、「貧女の一灯」という説話である。もっとも、後者のほうは老女が少女に置き換わっていたが、それは聞き手の年齢に合わせたのだろう。

私は不可知論者であるけれども、それでも他人の宗教思想は尊重しているつもりである。その姿勢は多分、この時期のお墓巡りや説話の経験に影響されているのだと思う。(明日につづく)