図書館情報学を学ぶ

はてなダイアリーで公開していたブログ「図書館情報学を学ぶ」のはてなブログ移行版です。

 今日は神保町へ古書巡りに行った。私が神保町を訪れたのはこれで二度目だが、改めてこの街の特殊さ、スケールの大きさに感嘆した。行った古書店すべてがそれぞれ独自の性格を持っており、その本の並べ方には妙な人間味があって楽しい。しかし、このような店に面白さを感じるということは、私が平生スーパーマーケット化した書店に慣れてしまったことを示している。かつて当たり前であった書店のスタイルが私たちの生活の中から消えてしまったことを非常に残念に思う。
 私は図書館情報学を志したのは、神保町の古書店に見られるような"知的空間"に魅せられたからである。小学生の私は学校図書館や市立図書館に毎日通ったものだった。そして、あらゆる書籍が詰まった棚がずらりと並んでいる風景を見るたび、胸の高まりを覚えたものだ。無数の物語、賢人の思想が、図書館という空間の中で無限に折り重なっている様を幻視していたからである。
 古書店にしろ、図書館にしろ、このような知的興奮を万人が得られるような素晴らしい文化施設が、生活から消えていってしまっているかのように私は思える。今の「情報化社会」という潮流によって、国内の情報格差は無くなっていったのかもしれないが、同時に「知識」の密度は低くなり、「知的空間」が解体されているのかもしれない。