図書館情報学を学ぶ

はてなダイアリーで公開していたブログ「図書館情報学を学ぶ」のはてなブログ移行版です。

遅読のすすめ

遅読のすすめ

遅読のすすめ

図書館にてタイトルが気になったので借りて読んでみた。内容は要約してみると「読書とは食事と同じように個人個人その人に合ったスタイルがあるので、無理に速読しようとすると生活バランスを崩し、あまり健康的ではない。数をこなそうとする読書法よりも、内容を咀嚼しながらゆっくりと読んでいく"遅読"の方が日常生活において知識内容が定着する。だから速読術に手を出すことなく自分なりのスピードで本を読むほうが良い。」という感じ。
全体の構成は

  1. ゆっくり読む
  2. 幸福な読書
  3. 暮しの時間
  4. 大食いと多読
  5. 読書の周期
  6. 本を手にして

の全5章で成り立っている。サブカル的なタイトルに比べて内容はエッセイに近いので少し肩透かしを食らったが、古今東西様々な文化人の読書観が引用されているのと、読書と食を結びつけているのが面白く、遅読コンプレックスがみるみる解消されるので、そう質の悪い本ではない。
ただ、あまり論理的な文章ではないので説得力は薄い。それと、しきりに立花隆の速読経験について触れるのがくどい。作者自身、遅読コンプレックスが強いのが明白。編集者は指摘しなかったのだろうか。
以下引用

目が文字を追っていくと、それにともないながら、その情景があらわれてくる。目のはたらき、理解のはたらきがそろっている。そのときはおそらく、呼吸も、心拍も、うまくはたらき合っている。それが読むということだ。読むリズムが快くきざまれているとき、それは読み手の心身のリズムと幸福に呼応しあっている。読書とは、本と心身とのアンサンブルなのだ。

なんとなく齋藤孝の身体論に似ていなくもない。